とりむしさかなとコウモリと

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安くても利益を出せる絶好調の居酒屋は、オペレーション最適化のためにお客を”型にはめる”

この前「おすすめ屋」という居酒屋に行ってきました。

2000円で食べ放題飲み放題という、都内のチェーン店ではなかなか難しい業態を実施しています。

普通の居酒屋チェーンで飲み放題つきコースだと、相場は4000円くらいですので、およそ半額。しかも食べ放題です。

クオリティに半信半疑でしたが実際に行ってみて、安く提供できるカラクリがわかりました。

 

フードにコストをかけない

 お肉は鶏肉のみ、野菜はキャベツ・レタス・もやしをメイン、鮮魚は1~2種類の解凍もの、ポテトや粉もの系、揚げ物を主力とし、「定番の居酒屋フード」からさらに絞り込みがされていました。

 お酒メニューに関しても、生ビールこそ飲み放題は追加料金が必要ですが、酎ハイ・サワー系をそろえ、お酒のブランドよりレパートリー重視です。

 また、オーダーはグラス交換制で、過剰注文によるロスを防いでいるようです。

 

・フードに手間をかけない

 調理の省力化に関していえば、一層の力の入れ様を感じました。少数で回せるようなフードのみがラインナップされており、調理・盛り付け・片付けが必要なメニューはありません。

 例えば、居酒屋で定番のお刺身盛り(盛り付けに手間)、パスタ・麺類(調理工程が必要)、焼き魚系(調理・残渣処理)はありませんでした。

 代わりに、ハムカツ、カキフライ、コロッケ、から揚げ、オニオンリングといった揚げ物(おそらく冷食)や、作り置いて小分けして出せる料理(えだまめ、サラダ)といった、バイトでもそれなりの質と速度でメニューを提供できるように工夫されていました。

 

・オペレーションにコストをかけない

 私は初めての経験でしたが、注文する際は、すべてスマホから専用サイトにつないで送信する形式でした。テーブルには紙のメニュー表はおいてありますが、タブレット型の注文端末等は一切なく、フロアスタッフに声をかけての注文も一切受け付けません。

 つまり、ハードウェア的な設備投資が非常に少なくてすみ、フロアスタッフの仕事も、配膳と空き皿回収のみに最小化され、てきぱきと専念できていました。これなら日本語がわからなくても成立します。

 専用サイトでは品切れや注文状況も即座に確認でき、注文しすぎ防止もシステム上で実装されており、お客対応をほとんどしなくても、現場のオペレーションが成り立つようになっていました。

 

・受け入れられる客だけを選択

 つまり、客は自分のスマホで注文して飲み食いし、制限時間が来たら注文受付が終了して退店する。「お店のスタイルに客を合わせる」ようにすることで、この低価格戦略を実現させ、好調を維持していることを実感できました。90分ラストオーダーも回転率を上げるためには仕方のない時間だと思います。(追加料金で+60分)

 

実際に行ってみて、普通の居酒屋でありがちな下のようなリスク(オペレーションコスト)がうまく排除されており、非常に合理的な運営になっているなぁと感心しました。

・テーブルごとの注文管理、間違いリスク

・注文に時間がかかる客、何を言っているかわからない客

・店員にやたら何か確認したり絡んでくる客

 

私のようなバカ舌にはおすすめのおすすめ屋です。